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地域密着の企業『株式会社 綿引無線』代表取締役のBLOG
歴史ブームに想うこと!!
 

  ここしばらく歴史ブームと言われています。特に,今回のブームは若い女性の間で広がっているということで,巷では「歴女」なる言葉が流行語にもなっているようです。最近では,テレビ放映の影響もあり,日露戦争を中心とした明治時代が脚光を浴びたのに引き続いて,今年になってからは竜馬に代表される幕末が注目されています。
  尤も,歴史ブームはこれまでも何回か繰り返されており,そんな中で幕末・明治維新については定番と言ってよいほどの根強い人気があるように思います。

 

我々自身の経験でも,社会に出る前のまだ養われの身で,血気盛んな精神はあるものの,想いだけが先行しているという年代では,「尊王」だ「攘夷」だと言って奔走する志士達の姿は,非常に眩しく憧れの存在であったように思います。特に,「坂の上の雲」や「竜馬がゆく」を始めとした「司馬史観」と言われる世界は,当時の若者には何か強く引き付けられるものがあったように感じます。ただ,時代的な背景の違いもあり,現代の若者の受け止め方は当時とはまた違った形であるようです。さらに,最近では,この「司馬史観」なるものの再評価が喧しくなってきており,時代の流れを実感します。
  いずれにしろ,幕末・明治維新というと「坂本竜馬」や「高杉晋作」などのよく知られた人物が話題となりますが,当時の記憶の中では,世間に余り知れ渡っていないものの,何となく気になる存在の人物が何人かいます。

 

その中の一人として挙げられるのが「所郁太郎」という人物です。この人物が登場するのは,表題の陰に隠れた短編の主人公としてだったと思いますが,当時の多彩な人物群の中でもしっかりとした存在感が印象にあります。
  元々は,美濃国の生まれのようですが,緒方洪庵が開いた大阪の適塾で学んだ後に,京都に出て長州藩士との親交が始まり,故郷での安定した生活を振り切って,当時京都から追放された長州藩と運命を共にする道を選択したという人物です。その後,長州藩内の派閥争いの中で,
28歳の若さで戦場にて病死したとのことです。

 

医者としての実力もあり,地位もあったのですが,それを捨ててまで時代の渦中に飛び込んで行き,最後は戦場に散った姿は,短い文章にも関わらず,本人の内面に秘めた想いを十分感じとれたように記憶しています。特に印象的なのは,後に明治の元勲となった井上馨が刺客に襲われた際にたまたま治療に当たり,その命を救ったことが唯一歴史上にて脚光を浴びた場面として描かれていることです。
  多分,強い志がありながら,歴史の表舞台に登場することなく消えて行った多数の存在の象徴的な人物として,心の中に刻まれていたように思います。

 

大きな歴史の転換点には必ず中心的なヒーローが登場するのが常ですが,その背後には同じような志と熱意を持った多くの人物の働きも忘れることはできないように思います。情報伝達の手段が極めて限られていた幕末という時代の中でも,歴史のうねりの中で自らの想いを叶えるために行動しようとする姿は,大いに勇気づけられるものです。
  黒船来航に端を発して,日本から世界に目を見開かされた当時の人々と同じように,経済問題や環境問題を始めとした全地球的な課題解決を迫られることとなった我々の志が今や問われる状況となってきました。

 

幸いなことに,現代は,情報通信技術の発達により,必要な情報がタイムリーに入手でき,個人からの情報発信も容易にできるようになりました。人類が営々と築いてきた歴史の営みをどのような形で後世に引き継いでいくのか,我々一人ひとりが考え行動していくことが必要ではないでしょうか。
  正に,「棲みなすものの心」次第と言えます。

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