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地域密着の企業『株式会社 綿引無線』代表取締役のBLOG
IT社会で問われる真の技術力!!
 

 

6月となりました。

 

春から夏に向かう季節となって,天候が不安定になってきているようです。突然の豪雨や落雷,さらには竜巻など,自然の猛威を感じる最近です。気象庁が公表しているデータによれば,昨年2011年の日本の平均気温は例年に比べて低目であったようで,ここ10年間の中でも三番目に低い気温とのことです。ただ,昨年の6月から9月までの4か月間に限れば,ここ10年間で二番目に高い気温であったことから,いよいよ迫りくる“電力不足の夏”に向けて不安感は一層高まっていきます。

 

ここへ来て,世間では消費増税論議に加えて,原発再稼働の是非が大きく取り上げられていますが,その前提となる夏場の必要電力量については,気温という予測が難しい自然現象を相手にする必要があるため,万が一の備えを充分に行っておくことも必要なのではないでしょうか。いずれにしろ,最終的には“リスク評価”と“リスク受容”の問題になると思いますが,その前にやっておくべき対策を充分に実行することが重要であることは言うまでもありません。

 

最近では,IT社会の進展により,様々な議論が見える形で行われるようになっており,いろいろな立場での意見や提言を見聞きすることができます。今までにはなかなか考えられなかった画期的な状況と言えますが,一方で,溢れる情報にただ流されるのではなく,自らが主体的に考えて方向性を見出すことも求められる時代となっています。また,情報収集や意見表明の手段が多様化していくに従って,合意形成の道筋はなかなか困難を伴うものとなってきているのも事実です。時代の流れを反映した新たな仕組みづくりが必要になってきているように感じます。

 

このような議論の中で,最近特に感じることは,技術的な話題が日常的に取り上げられるようになっていることです。これまでは,ある程度の専門的な話として一般的には目に触れる機会が少なった話題が,多種多様なメディアの出現により,ごく日常的にやり取りされるようになっています。ただ,このような話の中で使われている用語の意味合いについて,その解釈が気になる場面も多々見受けられます。ややもすると,議論がかみ合わない原因がこの用語の使い方における混乱から生じている場合が多いようにも思います。

 

最近よく耳にするようになった『電力』と『電力量』の違いもそのような事例と言えます。かつて〔馬力〕という用語が特に自動車の性能を表すものとして使用されていましたが,これは『電力』の単位であり,〔kW(キロワット)〕という単位と同じ区分のものです。意味合い的には,「単位時間当たりの仕事(エネルギー)」であり,『仕事率』とも呼ばれているものです。モノづくりにおいては欠かせない指標であり,学生のころはこの区分の単位換算は必須の暗記項目でした。

 

一方,『電力量』は電力に時間を掛けたもので,『仕事』や『エネルギー』を表すものです。したがって,意味合い的には「電力を時間的に積算したもの(仕事)」になり,単位としては〔kW時(キロワット時)〕などが使用されます。発電設備で言えば,『電力』は設備そのものの性能を表しますが,『電力量』の場合には,稼働時間や稼働率が加味されることとなります。使用する機器が動くかどうかは『電力』で決まり,それがどれくらいの時間動かせるかは『電力量』で判断されるということでしょうか。最近の電力需給に関する議論の中で,この区別がどのように認識されて行われているかが,非常に気にかかるところでもあります。

 

いずれにしろ,IT社会の出現により,技術的な情報も極めて手軽に入手できるようになりました。

 

我々が携わっている“無線技術”においては,真空管の時代から寝食を忘れて没頭するマニアが活躍する特殊な世界が盛り上がっていました。携帯電話の基地局が出現するはるか以前からアマチュア無線のアンテナが住宅街のあちこちにそびえ立っていました。無線機を自らが設計し,部品を調達して,自作して運用することが当たり前のように行われていたのです。情報を入手できるルートは限られていましたが,自分で試行錯誤を繰り返し,仲間と競い合うことで技を磨いていったのです。情報の共有範囲が限られていたために,自然と特別な世界を形成していたとも言えるかもしれません。

 

一方,最近はオープンな場であらゆる情報を入手することが可能となっています。さらには,自らのこだわりを広く公開してアピールすることも簡単に行えるようになりました。技術情報は特定の限られた人たちのものではなく,興味を持った誰でもが入手できるものになったのです。その点に関しては,非常に恵まれた時代が巡ってきたと思います。

 

ところが,専門的に技術を扱う者としては,安閑としていられなくなりました。あらゆる情報はお客さんも目にすることができるのです。また,急速に繰り広げられる技術革新や商品開発により,追いかけるべき範囲も膨大なものになってきました。

 

技術の分野においても,限られた専門的な情報を獲得することが意味を持つのではなく,溢れるほどの情報や知見の中から,物事の本質や時代の流れを見極め,現実的で合理的な視点に立って,きめ細かいソリューションを導き出すことができる能力が求められているのです。

 

新たな時代の“技術力”が今まさに試されようとしています。

| - | 08:00 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事