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地域密着の企業『株式会社 綿引無線』代表取締役のBLOG
求む!データサイエンティスト!!
 

 

7月となりました。

 

梅雨の季節が続いております。毎年の事ですが,大雨による洪水や土砂崩れに対する備えが必要です。海外では,インドやカナダでも大雨による洪水が発生し,大きな被害が出ているようです。当初の予報では,今年の梅雨は雨量が平年より多いとのことでしたが,今のところの感じとしては“空梅雨気味”というところでしょうか。東京近郊のダムの貯水率も50%程度と少な目ということですので,夏に向けた水量の蓄えも期待したいところですが,自然現象はなかなか人間の都合に合わせてくれませんので,油断は禁物です。

 

我が国で気象観測が開始されたのが1875年(明治5年)とのことですが,観測機器や解析技術の進歩に伴って予報精度は高まって来ているものの,気象現象はそれ以上に“複雑系”ですので,世界で一番のスーパーコンピュータを駆使できたとしても,なかなか“予報官()泣かせ”の状態のようです。ちなみに,気象庁では「降水の有無の的中率」を公表しており,明日の予報では的中率が82%,3日目で74%,7日目になると69%という結果となっています。『明日雨が降る』という予報が出ていたとしても,5回に1回位は外れるということのようです。

 

ところが,ここへ来て個人個人が所持するスマートフォンの普及により大きな援軍が現れてきています。予報の基になる気象観測データの情報は,全国各地の約1,300箇所に設置されたアメダス(地域気象観測システム)という無人観測施設から主に収集されていますが,予報の精度向上を図るには,さらにきめ細かい情報収集が必要となります。しかし,このアメダスを増設するためには費用負担が大きくなることから,なかなか実現が難しい制約があります。

 

一方,国内各地のスマートフォン所持者が急激に増加したことから,このスマートフォンを活用して情報を集めることで,全国各地に生活するそれぞれの場所において,直接的に肌身で認識された天候や気象状況を収集することが可能となったのです。これにより,アメダス以上にきめ細かいポイントでの気象データを得ることができるようになりました。

 

現在このシステムを運用しているウェザーニューズ社においては,“ウェザーリポーター”というこのような会員が400万人に達しているとのことで,1日あたり3万通のリポートが寄せられているようです。また,特に予測困難なゲリラ雷雨に対しても,“ゲリラ雷雨防衛隊”が組織され,3万人を超える隊員数となっているとのことです。先月末には,このような気象情報のやり取りに利用されるスマホアプリ「ウェザーニュースタッチ」のダウンロード数が累計で1000万に達したとの発表が行われております。

 

同じような試みは,例えば自動車のワイパーの動作状況に関するデータを収集することで,現在雨が降っている地点の情報を配信することができるようになっています。このほかに,車載GPS端末による位置情報から渋滞の発生状況を配信することは勿論のこと,急ブレーキ発生箇所を特定して道路管理に役立てる取り組みにも活用されているとのことです。現在,このサービスを積極的に推進しているホンダの「インターナビ」については,会員数が175万人を超えているようです。

 

このような事例に留まらず,近年,通信機器の進化やネットワーク技術の高度化に伴って,様々なデータを収集することが可能となっています。無線通信モジュールが低価格で小型化したことで,様々な機器同士においても直接的にデータのやり取りを行うことができるようになりました。正に,“モノとモノ”や“モノと人”がネットワークでつながり,それぞれのデータがリアルタイムで自動的にやり取りできるという,いわゆる「M2M(Machine to MachineMachine to Man)」と呼ばれる技術です。

 

そして,このような技術を使って様々な形でデータを収集しようという動きが加速しています。従来あったような“評価,口コミ,投稿”という形に留まらず,モノや機器からの直接的な情報も含めてそのデータ量は膨大なものが想定されます。正に最近よく耳にするようになった「ビッグデータ」です。個人情報などの管理に関しては十分な配慮が必要ではありますが,先の事例のような利便性の向上などの新たな価値の創出につながる期待が日増しに高まってきています。

 

このような動きを受けて,収集した膨大なデータを分析することで,効果的な活用や課題解決のための知見を見つけだし,より有効な形で目的の実現を図っていく役割としての“データサイエンティスト”の育成ということが注目されてきています。収集された膨大なデータをコンピュータ技術によりただ力任せに形式的な処理をするのではなく,客観的な評価に基づいた目利きや知見を拠り所として,より適切な形で課題解決に結び付けられるかどうかが取り組みの成否を左右するとの考え方であり,これを実現できる技術者が不可欠とのことです。

 

ただ,このような役割については“ビッグデータ”という取り組み分野に限らず,“現代社会における氾濫情報”においても非常に重要なもののように感じます。種々雑多な情報に接することが容易になった反面で,客観的な事実や評価が置き去りにされてしまうことや,全体的な視点が見失われて特定の部分のみが強調されてしまうこと,さらには,悲観的,否定的な見方のみが取り上げられて建設的,合理的な解決の動きを忘れてしまうことなどの危険性が懸念されます。

 

情報を客観的なデータとして冷静に見極め,本来の目的や課題解決に向けて,より効果的な解決策を導き出すために情報の集約や評価を総体的な視点で実行できる技術はあらゆる分野で求められているように感じます。その意味では“データサイエンティスト”であるとともに“データエンジニア”という位置づけとも言えます。

 

地域社会をより良いものにしていくという強い意志を持った“データサイエンティスト”や“データエンジニア”でありたいと猛烈な勢いで感じ始めた今日この頃です。

| - | 08:00 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事