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地域密着の企業『株式会社 綿引無線』代表取締役のBLOG
今こそ知識のネットワーク化を!!
 

 

11月となりました。

 

朝晩の寒さを大分感じるようになりました。季節は正直に移り変わっているようです。体が単に縮こまっているだけなのですが,気分的には身の引き締まる思いを感じます。年の瀬が近づいてきたことで,月日の流れの速さを嘆く声をよく聞くようになりました。その一方で,今年中にやり遂げるべく目標達成への追い込みを図る姿もあり,それぞれの想いが垣間見られるような気がします。何れにしろ,時間は誰にも平等に割り当てられているのであり,自らの考え方,行動の仕方が問題というところなのでしょうか。

 

先月は日本列島に近づく台風の動きにやきもきしました。特に,伊豆大島で発生した土砂災害については,未だに捜索活動が続けられています。台風26号による記録的な大雨により,町の中心部において大規模な土石流が発生した被害は,想像を絶するものであったようです。それにしても,1時間当たりの雨量が122.5ミリ,24時間雨量が824ミリという数字からも,今回の雨が極めて激しいものであったことがうかがえます。気象庁のデータによると国内でこれまで観測された最高記録が,1時間当たり153ミリ,24時間で851.5ミリの雨量ということですから,これに迫る正に記録的な状況であったと言えます。

 

伊豆大島と言えば三原山の噴火が有名で,1986年には全島民に対して避難勧告が出されたりもしており,我々も災害と言えば噴火と言うイメージが強くありました。実際にも,過去に噴火による被害を受けた事例も多くあることから,監視の中心は三原山のマグマというところがあったものとも思います。ただ,降水量で見ると伊豆大島は年間2827.1ミリと,全国の平均値と比較してもかなり高い数値であり,元々雨の多い地域と言えるようです。さらに,地層的にも噴火による火山灰が降り積もっている特徴から,大雨による土砂災害の危険性が元々高かったようでもあります。今となっては,このような実情であるのであれば,何らかの備えにより今回のような大きな被害を防ぐ手立てはなかったものかとの思いが募ります。

 

大分以前に聞いた話によると,日本の年間平均降水量はだいたい成人男性の身長程度であり,そのうちの頭から胸までに相当する水量は大気中に蒸発し,胸から膝までの水量は河川を経由して最後は海に流れ込み,膝から下の部分の水量は地下水として蓄えられるということのようです。年間を通してこのような恵まれた降水量が確保できているということは,飲料水や農業用水の確保にとって非常に好ましいことであり,日本固有の風光明媚を作り出している源とも言えます。ただ,これが極めて短時間にもたらされるとなると,我々にとっては非常な脅威になってしまいます。

 

最近,地球温暖化や大規模地震の話題により,我々を取り巻く自然環境への興味が非常に高まっておりますが,ここで感じるのは,人間が持つ感覚の尺度と,自然現象の尺度の違いということです。46億年前の地球誕生から現在までの期間を1年の月日に例えると,直立歩行を始めた猿人(アウストラロピテクス)が誕生したのが1231日の午後330分頃に相当するようです。このようなことを考えると,自然現象について我々が知り得ている範囲は非常に限られたものともいえます。ここ20年程度の地球温暖化の議論についても,元々自然現象として存在する気候変動の周期がどの程度のものかということを抜きにして評価はなかなか難しいように思います。

 

ただ,そのような中でも,我々は様々な英知を集めてこのような未知の領域の解明に努めてきております。例えば,樹木の年輪を調べることで過去の気候条件を探ることや,珊瑚の日輪により1年の日数変化を調べることが行われているようです。また,古い地層やそこからの出土品についての年代測定については,自然に存在する放射線を利用した測定が広く用いられていることはよく知られているところです。このような努力の成果により,過去1万年間の地球は氷河期としては極めて温暖な気候状態が続いているものの,その間にもより短いサイクルでの気候変動が繰り返されてきていることが明らかとなっています。また,数年前にはカナダのケベック州北部で約42億8000万年前の岩石が発見されたとのニュースも伝えられています。さらに,このような探究心はとどまるところを知らず,137億年前と言われる宇宙の起源にまで目が注がれています。

 

一方,より局所的な状況や人々の生活における影響などのきめ細かい状況については,過去の文献に記録された内容が手掛かりになる場合も多いようで,東日本大震災の際には,1000年以上も前の史書に書かれた記録から869年に発生した貞観地震の話題が広く取り上げられました。人間の一生に比べると自然現象のサイクルはとてつもなく長い尺度を持っていることは確かですが,将来の世代に対して我々の英知や経験として伝えられることはまだまだたくさんあるような気がします。

 

気象庁はこの8月から“特別警報”の運用をスタートさせました。これは,大雨,暴風,高潮,大雪などの気象災害において,50年に一度発生するかどうかという規模の危険性を警告するものとのことです。今回の伊豆大島の災害に対してこれを活かすことができなかったのは非常に残念ですが,これを大きな教訓として,よりきめの細かい知識や情報の共有方法あるいは活かし方を考えていくべきではないでしょうか。

 

日々の生活において欠かすことのできない気象情報ですが,最近は「観測史上最も」とか「記録の更新」という言葉をよく聞きくようになりました。ただ,時間的な尺度の背景を考えるとそのこと自体の意味合いと言うのはよく見極める必要があると言えます。また,地域的に見れば,観測開始以前に同様な事象があったことも十分考えられます。一方,科学技術の進歩により自然現象に関する様々なデータが収集され,新たな事実が解明されてきております。さらには,IT化社会の進展により個人個人の身近な生活環境における情報発信も頻繁に行われるようになってきました。

 

繰り返される自然災害に立ち向かうためには,このような膨大な知識や情報を繋ぎ合わせて,より実効性のある予防対策に活用するいわゆる“知識のネットワーク化”が強く求められているように感じます。

 

ビッグデータが盛んに取りざたされる昨今ですが,最優先に活用すべきは“防災”に対してではないでしょうか。

| - | 08:00 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事