7月となりました。
梅雨の季節が続いています。沖縄地方は既に梅雨明けしたようですが,その他の地域ではまだしばらく雨傘が活躍する時期が続きます。特に今年の場合には,突然の雷雨に見舞われることが比較的多く,なかなか気が抜けません。渇水対策のためにも“恵の雨”は歓迎するところですが,“ゲリラ豪雨”や“大粒の雹”は誠に困りものです。もっとも自然現象に対してはなかなか防ぐ手立てはありませんので,ここはいざという場合の備えを行っておくことが肝要というところでしょうか。
一方,地球の裏側では熱い戦いが続いています。ブラジルは季節的には冬ですが,赤道に近い北部地域では熱帯気候のため年間を通じて最高気温が25℃以上となるようで湿度も高く,画面で見る以上に選手たちにとっては厳しい状況と思います。そのような中でも,参加各国の応援団の熱狂ぶりを見ていると,サッカーという競技の世界的な人気の高さを改めて感じさせられます。また,名の通ったスーパースターの雄姿に心が踊らされますが,それに代わる新たなスターの登場にも目を見張らされるところがあり,時代の移り変わりも実感させられます。
勝負事ですので結果の明暗には非情な面がありますが,これまで鍛錬を積み重ねてきたトップレベルの選手の躍動感には勝ち負けを超えて大いに感動させられます。かつて我々の世代がペレの雄姿に憧れたように,多くのサッカー少年が厳しい練習に立ち向かう勇気を与えられているものと思います。今大会では,残念ながら日本チームは決勝トーナメントには進出できませんでしたが,既に2018年のロシア大会あるいはその次の大会へ向けた動きは,“次の世代の夢”として着々と大きく膨らんでいっているものと思います。
サッカーの場合,限られた時間の中で勝負が流れていきますので,正に手に汗握る状況での観戦となります。応援する方は眠気を忘れてついつい熱中してしまいます。一方,フィールド上の選手は,一旦試合が始まってしまえば自分たち自身で試合の流れを作っていく事が必要になります。監督がフィールド脇で大声を出してもなかなか細かいところまでは伝えきれない状況であり,選手交代もある程度制限されているため,日ごろの戦術練習と共に,試合が始まってからの選手たち自身でのゲームコントロールが重要になると言えます。
それに加えて,相手チームの特定の選手の動きや,一本のシュートによる得点で試合の流れが大きく変わる場合があるため,それぞれの場面での状況判断と,それに応じた効果的な対処がフィールド上の選手一人一人に求められることとなります。
翻って見ると,同じような課題は日常の我々の業務においても発生しています。個々の仕事における場面においてチームプレーを求められるのですが,組織全体としての基本的な考え方を徹底させながら,それぞれの持ち場でどのような対応を行っていけるかが大きな問題となります。特に,様々な面で業務の質が厳しく問われるようになってきた昨今においては,自分たちの実力を十二分に発揮して,客先を始めとした見守る人たちに感動を与えられるような流れを作ることができる,いわゆる“組織力”が問われることとなります。
といっても,基本的なルールが明確なサッカーとは異なり,実際の業務においては少し事情が違ってきます。先ずは何をもって得点とするかということです。受注を争っている時点での勝敗は明らかですが,実際に業務を開始してからの得点とは,どこにあるどのような形のゴールを目指すのかについて全員で明確に共有していることが不可欠です。さらには,目指すのは何点取ることなのかとういうことも重要であり,いつも最少得点で満足していたのでは自分たち自身の進歩も,さらにはお客様からのより高い評価も望めないこととなります。
一方で,失点するということはどうでしょうか。達成すべき目標が満たされないとういうことは論外として,それはもしかすると不測の事態による計画の乱れのようなことに例えられるように思います。様々な準備を整えていざ始めてみても,内的な要因のみならず外的な要因によっても,予定通りにいかない状況は必ずといっていいほど生じてきます。その際には,如何に早くこれを察知して,全員が機能的に連携して失点に至らないように対処することができるかということが重要になります。
何れにしても,自分たちの思い描くプレーを展開し確実に結果を残すためには,日常的にチーム全体としての基本的な戦術を徹底的に身につけること,そして,その上でそれぞれのポジションでの役割を理解し,その時々の状況に応じてお互いの連携を図りながら局面を打開していくという基本的な部分ではサッカーと全く変わらないとも言えます。スーパースターのように一人一人の個の力を高めることは必要ですが,チームとしての調和の中でその力を発揮することができなければ,組織全体としての力は脆くなることは,これまで繰り広げられた実際の試合展開でも明らかと言えます。
もしかすると,全員がチームプレーということを徹底的に追及して,一人一人がチーム全体としての強みを最大限に引き出す意識,さらにはそのひた向きな取り組みこそが組織力の源であると言えるかもしれません。
これからブラジルでは決勝戦に向けて一発勝負の熱い戦いがさらに続いていきます。この先どのようなドラマが展開されていくのか,期待はますます高まっていきます。
一方で,我々の業務に関しては,さらに劇的な変化が予想されます。国際的な技術開発の進展や世の中のニーズの変化により,ルールそのものが変更されるほどの変革が生じてきています。
日本代表チームと同じく次なる戦いは既に始まっていると言えます。