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地域密着の企業『株式会社 綿引無線』代表取締役のBLOG
迫られる企業連携と業務品質!!


 2016年(平成28年)も2月となりました。
 
 年明けと共に寒さがいよいよ本格化してきました。ここ最近,関東地方では週末ごとに雪に見舞われているような感じです。地球温暖化に対する懸念が強くなってきていることもあり,本来の季節感に戻って欲しいという想いはあるものの,日常生活に支障が出てしまうことには困ったものです。もしかすると,これは現代人の身勝手な欲望を知らしめると共に,近代化された社会の脆弱性をさらけ出すことを意図した警告なのでしょうか。
 
 家庭やオフィスでの冷暖房設備の発達により,快適な生活空間が当たり前のようになっているため,自然環境も人間社会に適した形でコントロールできると思い込むようになっていくことが懸念されます。ここは“当たり前”の感覚を見直す良い機会と捉えるべきかもしれません。
 
 人類が文明生活を始めた当初は,様々な危険性やリスクから自分達を守ることに必死で取り組んでいたはずですが,ある程度の安定した生活ができるようになって,より便利で快適な日常が当たり前のようになってきたことで,感覚が麻痺してきているところがあるように思います。本来,身を守るために発達してきた感受性や,外的環境への適応力などの野性的な能力が衰えていくとすれば,これはたいへん困った事態と言えます。ここは改めて長年に渡って進化させてきた本来の感覚をよみがえさせることが必要なのではないでしょうか。
 
 変化していくという意味では,企業活動を取り巻く環境においても大きな動きが起こってきています。ここ最近の話題で言えば,“電力自由化”に見られるような地域性や業界を超えた活動領域の展開でしょうか。生活基盤の根底を支える電力の安定供給に支障が生じることへの懸念もありますが,4月からのスタートを控えて契約者の囲い込みが過熱してきました。これまで地域割りされた電力会社の業態が一気に取り払われることで,様々な業界との連携による相乗効果をアピールする動きは,新たな方向性を明示するものと言えます。
 
 今回の電力自由化については,重要なインフラとして確立している送電網を活用せざるを得ないという事情はありますが,一般的な観点でこのような動きの背景にあるのは,産業構造の“垂直統合”から“水平分業”への流れであるように思います。従来のような垂直統合型の場合には,特定の商品やサービスに特化したコストパフォーマンスの追求に適した形と言えますが,激烈化する価格競争や,多様化する商品価値の展開においては,自らが設定した事業領域が障壁となってしまう不自由さが顕著となってきています。
 
 実は,このような動きは既に通信業界では始まっており,一時期大きな話題となった“格安スマホ”はその先駆けと言えるものです。従来は,通信網を所有している通信キャリアが端末を含めた全てのサービスを提供していましたが,国際的に通信方式が統一化される中で端末の開発競争が激化することで,特定の顧客ターゲットに絞り込んだ多様な商品・サービスの展開が求められることとなりました。この結果,通信設備を含めた通信網を保有しない多くの企業が“仮想移動体通信事業者(MVNO)”として参入して,特徴のある商品・サービスの提供が行われてきています。
 
 尤も,このような流れは携帯電話業界に留まらす,これまで長らく電気通信網を支えてきたNTTにおいても,全国に行き渡った光回線網を活用した高付加価値サービスの創出についてグループ外のパートナーと共に取り組んで行くという“クロスセル(Cross Sell)ビジネス”の推進を明確に打ち出してきています。
 
 さらには,自らのサービス基盤を積極的に打ち出して“水平分業”化を推進する動きも始まっています。例えば,ヤマトホールディングスでは,全国に確立した物流網を活用して様々な業種との連携を本格化させており,通信機器の設定から配送までを受け持つMVNO向けの業務支援サービス,あるいは家電製品に対する故障機の回収や修理対応,さらには代金回収までをサポートする業務支援サービスなど広範な取り組みを推進しています。正に,企業連携の流れが新たなサービス展開の可能性を広げていると言えます。
 
 ただ,一方で,最近の耳目を集める出来事として話題となったマンション傾斜問題やスキーバス転落事故など,複数の企業が関わる業務における品質確保の問題が明らかとなってきています。業務を請け負う元請から一次下請け,二次下請けといった階層的な体制や,参加者の募集窓口となる旅行業者を始めとして運行を直接担当するバス会社やその仲介会社などの分業的な体制において,関係する企業が如何に統一的な品質のレベルを確保できるかということが大きな課題となってきているのです。
 
 これからの業務遂行の流れの中で,ここは一人一人が原点に返って“品質”の意味するものを考え直してみることが必要ではないでしょうか。進化し続ける現代社会において,痛ましい事故を新たに発生させないと言うことに留まらず,社会に必要とされるプロとしての技量を磨いていく為にも,常に追い続けるべき職業人としての責務のように感じます。
 
 ちなみに,品質マネジメントシステムの国際規格である「ISO9001:2015」では用語の解説として次のように記述されています。

 3.6.2  品質(quality)
  対象に本来備わっている特性の集まりが,要求事項を満たす程度。
 3.6.4  要求事項(requirement)
  明示されている,通常暗黙のうちに了解されている又は義務として要求されている,ニーズ又は期待。 
 
 普段何気なく使っている用語ですが,改めて読み直してみると,その意味するところの奥深さを実感する想いです。
 今こそ社会の期待に応える取り組みを始めることが必要ではないでしょうか。
| - | 08:00 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |