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地域密着の企業『株式会社 綿引無線』代表取締役のBLOG
人間にとって科学とは何か!!

 

 9月となりました。

 

 7月に入った途端に真夏日が連日して続いた際には,迫りくる猛暑の脅威に戦々恐々としていましたが,8月となってからは一転して雨の日も多く,何となく肩透かしを食らった感を否めない今年の夏というところでしょうか。記録によると,当地での8月の日照時間は昨年の半分ということで,子供たちにとっては今一つ満喫できない夏休みであったかもしれません。

 

 そのような中で,朝晩の肌に触れる風にも涼しさが感じられるようになり,ようやく熟睡できる状況になってきたと思ったところに,目覚めの時間帯を襲った突然の警報音にはたいへん驚かされました。日ごろ地震の多い地域でもあるため,同じような警報は昼夜を問わず経験していましたが,今回は自然災害とは異なるミサイル発射ということで,これまでにない一種独特の緊張感が漂ったように思います。

 

 兵器を使用した紛争については,これまで海外からのニュースとしてテレビの画面越しに見ていただけですが,我々の身近にそのような現実が迫ってきているということであるならば,社会の安定を維持していく為には具体的な取り組みが必要であること,さらには,そのことを常に真剣に考え続けていくことが欠かせないことを知らせる警鐘と捉えることもできるかもしれません。

 

 毎年この季節には,終戦記念日を中心として戦争が如何に悲惨な状況を生み出すのか,また,だからこそ平和が如何に尊いものであるのか,ということが過去の経験も踏まえて繰り返し認識されてきていますが,一方で,世界情勢は新たな問題をはらんできている状況が明らかとなっており,改めて国際社会が抱えているリスクについて考えさせられる事態となりました。

 

 人類のこれまでの歩みの中でも,古の時代から争いは繰り返し続けられてきましたが,科学技術の進歩に伴い,近代的な兵器によりもたらされる被害や犠牲の程度は極めて重大なものとなってきているのも事実です。様々なモノやサービスが高度に提供されることで,我々の日常生活は大いに利便性を向上させてきていますが,一方で,争いの火種は絶えることなくくすぶり続けており,一旦ことが起こった場合のリスクは増大しているのも現実と言えます。

 

 複雑に絡み合った国際情勢を安定化させ,争いのない平和な日常の中でそれぞれの幸福を追求できる社会の実現はなかなか難しいことなのでしょうか。また,現在我々が進んでいる,あるいは進もうとしている方向性はその目標に着実に近づくことができているのでしょうか。様々なことを改めて考えさせられる機会となりました。

 

 これまで社会的な不安の根底には常に経済的な困窮が原因として存在していることが指摘され,それを乗り越えるための手段として科学技術の進歩が追求されてきた面があります。これにより我が国も含めて目覚ましい程の経済発展を遂げて,人々の生活が豊かになった事例も続々と出てきています。しかし,一方で,最近は経済が優先されるあまりに,経済的な効果で何事も判断される風潮もあり,それによる歪も実際に出現してきています。

 

 かつて1999年にハンガリーのブダペストにおいてユネスコなどの主催による「世界科学会議」が開催され,科学の定義として『1.知識の進歩のための科学』,『2.平和実現のための科学』,『3.持続的発展のための科学』,『4.社会のため,そして社会の中の科学』という4つの側面が提起されたとのことです。〔「人間にとって科学とは何か」:村上陽一郎著(新潮新書 2010年6月)〕

 

 この場合には,純粋な学問としての科学への取り組み方についての提言ということのようですが,我々が日常的に取り組んでいる経済活動の面においても,目指すべき方向性について明確な認識の共有化が必要なようです。地球という限られた空間の中で,お互いに平和裏に共存して持続的な発展を遂げていく為にも,どのようなことを大切に考えていくべきかということを今一度再確認することが必要ではないでしょうか。

 

 最近はやりのAI(人工知能)においても,深層学習により人間並み,あるいはそれ以上の能力を備えることができたとしても,それが倫理観に基づいた方向性に合致したものでなければ,人間社会に貢献することはできず,逆に脅威になってしまいます。既に,AIに関する倫理指針(人工知能学会)なるものも提起されているようですが,今後このような議論が盛り上がることが期待されます。

 

 先の書籍によれば,我々が馴染みのニュートンやガリレオも自らを「哲学者」として任じて,社会からもそのように認識されていたようです。その後,我々が高度な近代科学と共に歩み始めてからの二百年たらずの間に目覚ましい発展を遂げることができましたが,ここへきて改めて科学や技術の発展を目指す根本原理を考えるべき時がきたようです。

 

 AIの倫理指針の最初に掲げられた「人類の平和,安全と公共の利益に貢献する」ことをどのように考えていくのか,それが問題です。

 

 

 

 

 

| - | 08:00 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事