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地域密着の企業『株式会社 綿引無線』代表取締役のBLOG
魔法の世紀の適応力を鍛える!!

 

 5月となりました。

 

 例年より早く駆け足で到来した桜前線ですが,間もなく北海道を通り過ぎようとしているようです。我が家の八重桜も,今年はゴールデンウィーク前に満開となり,今はもう地面にピンク色の絨毯を広げています。満を持して華やかに登場した晴れ舞台ですが,次の展開へ向けた動きに隙はなく,その潔さは見事と言うしかありません。しかし,自然はうまくしたもので,別の場所から新たな輝きが目立つようになってきました。

 

 自然の営みに限らず,実社会においても時の流れは着々と進んでいます。平成の世も残り1年となったことで,この30年という時代の振り返りについてあちこちで見聞きするようになりました。気付いてみれば“一世代”分の月日が流れたことになります。先日見かけたIT関係の年表においては,平成元年(1989年)の代表的な出来事として,ノートパソコンの先駆けとなった“東芝dynabook”と,手持ちができる携帯電話の先駆けとなった“Motorola MicroTAC”の登場が挙げられていました。

 

 その当時駆け出しを抜けきれない社会人であった私自身にとっては,まだまだ手書きとワープロでの資料作りに明け暮れ,外出すれば公衆電話を渡り歩く時代でしたので,この間の時代の変化は感慨ひとしおというところでしょうか。一方で,考えてみれば“十年一昔”とも言われますので,ある意味では時代の自然な流れと捉えることができるかもしれません。ただ,当時の状況を思い出してみると,現在に比べて様々な制約がある中での業務でしたが,たいへんな苦労であったという感じもあまりしなかったように思います。

 

 かつて,21世紀を迎えた際に,丁度100年前に当たる1901年(明治34年)当時の新聞記事として掲載された『二十世紀の予言』が話題となりました。これは,明治時代の人々が次の100年の間にどのようなことを実現できているのかということを予言したもので,技術革新から社会的な課題解決に至るまで23項目についての予測が行われています。その中には,蚊・ノミの滅亡といった身近な生活に関わる悩みの解消を予測したものがある一方で,自然環境の破壊による野獣の滅亡や,サハラ砂漠が肥沃な土地に生まれ変わることなど海外にまで視点を広げた内容が盛り込まれています。

 

 その中でも,特に情報通信に関する部分での的中率が高く,世界中に渡る無線電話や写真伝送の実現などを言い当てており,その他にも,遠距離にある品物を見た上で購入できることも予測されています。この当時と言えば,日露戦争が始まる3年前に当たり,国内産業の状況としては官営の八幡製鉄所がようやく操業を開始した時期となります。また,無線技術に関して言えば,無線電信を発明したマルコーニがようやく大西洋を横断した無線通信の実験に成功したばかりであり,このような状況を考えると,これを予測した方々の先見性に改めて驚かされます。

 

 一方,“魔法の世紀”と言われるように技術革新の動きが極めて激しい昨今の状況を考えると,この先の予測を行うことは至難の技のようにも思います。ただ,“人生100年時代”を迎えて現役生活がますます長期化する傾向を踏まえると,時代の変化に翻弄されることなく,逆にその流れを受け入れて活用出来るような適応力が試される時代になったようにも思います。特に,働き盛りで平成の時代を過ごした我々にとっては,これから正に直面する課題と言えるかもしれません。

 

 しかし,よくよく考えてみると,変化が激しく見えるのは,モノやサービスや仕組みなどの表面的な目につきやすい部分であり,その本質的なところでの基本的な考え方や物事の道理,さらには変化を起こしている流れの方向性などは一貫しているようにも思えます。実際,100年前の予言の的中率を見ると,当時からこのことに気付いていた方々がおられたようにも感じられます。

 

 先日,ここ最近目立ってきているモノづくりの現場における品質問題に関する話として,第一線で長く指導されてこられたスペシャリストの方の記事を目にしましたが,そこには,最近のモノづくり現場の傾向として,目の前の品質管理に関する業務が形骸化して,その本質的な目的が理解されていないという趣旨の問題を指摘されておられました。

 

 ここは我々自身にとっても非常に共感するところであり,ITを始めとして様々な使える道具が発達したことにより,目の前の業務は多様な範囲でより複雑な作業を求められるようになったものの,その分,その業務の本来の目的や,作業の根底にある考え方を理解することが疎かにされる傾向があるように感じます。

 

 新たな技術やサービスが登場することで,それを理解して吸収することに価値を見出す傾向が強くなってもいるようですが,結局は,それをどのように本来目的に活用していくのかが根本的に重要なところであり,世の中はその解決に向けて動いて行かざるを得ない流れとなっていることは明らかなように思います。

 

 先の品質問題に対する指摘の中でも,最終的には関わる“人”が解決のカギを握ることが指摘されているように,知識偏重の時代から,“本質を考え工夫する”ことを重要視してその技を磨くことができる人材が必要とされる時代を迎えたようです。

 

 何かにつけて便利となった世の中に馴染んで,かつて使える道具の選択に苦労していた頃の経験を忘れかけていた我々にとっても,新たなチャンス到来と言えるかもしれません。

 しかし,時の流れは非情です。心身ともに無理をしない範囲での適応力を極めることが肝要なようです。

 

| - | 08:00 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事