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地域密着の企業『株式会社 綿引無線』代表取締役のBLOG
地域の守り手意識の再構築を!!

 

 9月となりました。

 

 当地では,先月下旬辺りから暑さも少し和らぐようになってきましたが,その一方で西日本では九州地方を中心にして雨が降り続いています。この間,長崎県では24時間降水量が400ミリを超えたところがある他に,先月末には佐賀県にて1時間降水量が110ミリという地域もあったようです。この影響で河川の氾濫が発生し,避難を余儀なくされた方々や病院などの施設が孤立するというような事態も生じています。さらには,工場などが操業停止に追い込まれたりと被害はたいへん大きなものとなっています。

 

 ほとんどが急勾配河川という地形的な状況の中で,台風の通り道でもあることから降水量も多いという国土的な特徴により,これまで数多くの被害を経験したことも踏まえて様々な治水対策が進められてきてはいますが,自然の猛威は想定がなかなか難しいという状況です。とは言え,東日本大震災を始めとした数多くの経験を踏まえた動きは着々と進められており,内閣府を中心とした災害情報の収集・集約,並びに救援・救助の動きに関する統制などは極めて迅速に行われているようで,我々もその状況をネット等によりつぶさに確認することができるようになってきたことは,非常に心強く感じます。

 

 しかし,季節的にも毎年繰り返されている台風や集中豪雨の襲来において,尊い人命が失われるというような被害は度々発生してきており,そのたびごとに非常に痛ましい想いを感じざるを得ない状況と言えます。平成27年9月に発生した関東・東北豪雨においては,茨城県内の鬼怒川において発生した堤防の決壊により,濁流の中に取り残された住宅からヘリコプターによって救出される住民の方々の映像が記憶に新しいところです。被害の中心となった常総市においては検証委員会によりこの間の対応に関する報告書が取り纏められていますが,それによればヘリコプターによる救助人数は1,399人に上ったとのことです。ただ,その一方で,死傷者40人以上,全半壊家屋5,000棟以上という甚大な被害を受けるに至りました。

 

 この検証委員会報告書においては,関係の方々からの話も踏まえて現場での動きが詳細に取り纏められており,災害発生時における対応の難しさや日頃からの防災対策の課題などが克明に整理されています。一方,この被害の状況を受けて国もこれまでの考え方を見直す形で『水防災意識社会 再構築ビジョン』なるものを打ち出し,「施設能力を上回る事象が発生する中で,住民の“水災害の知識・認識を高め,主体的な行動に結び付けるためのソフト対策”と,住民の“避難の支援や,被害を未然に防ぐハード対策”が一体となった,人命を守る取り組みが必要」との観点に立ち,これまで中心となっていた施設整備による対策だけでは防ぎきれないとの認識を前提としたトータル的な対応を進める考え方を打ち出しています。

 

 気候変動等による豪雨の増加が懸念されている状況の中で,河川の氾濫や土砂の流出防止などのハード的な対策を着実に進めることは重要であるものの,人知を超えた自然の猛威を相手にしたものであるからには,想定外の事態が発生することに対しても備えておくことは誠に理にかなったものとも言えます。これに関しては,“危機管理型ハード対策”ということで,例えば,想定以上の河川水位となった場合でも堤防決壊までの時間を引き延ばす構造を工夫するなどの対策も打ち出されていますが,これと合わせて,我々一人一人が住民としての取るべき対策を意識していくことも勿論必要となり,その観点からの提言・施策も盛り込まれています。

 

 我々の日常生活の基盤である地域社会を守るために,かけがえのない国土を安全・安心に暮らせるものに形作っていくことが,次の世代のためにも極めて重要なものであるとの認識を改めて強くするところです。その意味で,我々も日々建設業としての業務を行っておりますが,我が国の国土づくりを担う“地域の守り手”としての役割を今一度考えてみることが必要なようです。

 

 この建設業については,どちらかというと3K職場というようなイメージがあり,実際の現場においては,急速な高齢化と共に若者離れが進んでいると言われています。時あたかも働き方改革が叫ばれている状況の中で,これからの“地域の守り手”をどのように確保していくかということが喫緊の課題となっています。この6月には『新・担い手3法』が国会で成立していますが,具体的にどのような施策を推進していくかが問題となるところと言えます。

 

 現状における世の中の働き方改革の流れで言えば,残業時間の規制や休日の確保などがクローズアップされることになるかもしれませんが,その前提としてこれを実現させるための“業務効率向上”や“リスクマネジメント”さらには“技術革新”などへの取り組みに対する動機付けをどのように図っていくかというところが極めて重要なポイントのように思います。

 

 様々な形で我々の社会的基盤を支える建設業の位置づけから考えれば,それぞれの職域での仕上がりの良し悪しが地域社会で暮らす人々の日常生活に大きく影響することとなることから,その役割の重要性を意識した上で意欲をもって取り組める若者をどのように呼び込むことができるのかがこれから正に問われるところと言えます。

 

 その意味で,先ずは我々自身が“地域の守り手”としての意識を再構築して,“ニュータイプの時代”と言われる新たな価値観の中での“地域社会での働きがい”を具体的に示していくことが求められているのではないでしょうか。

 

| - | 08:00 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark | 昨年の記事